プラセボ効果とノセボ効果って何?思わぬ「薬」の効果について
薬を処方されているときに、本物の治療のように見せて治療機能のない薬、偽薬を処方しても効果がることをプラセボ効果、逆に薬を処方している際副作用があると強く信じ込むことによって副作用が起こることを効果といいます。プラセボ効果とノセボ効果について知っておきましょう。
プラセボ効果とノセボ効果ってどういうもの?
プラセボ効果とはプラシーボ効果とも言い、端的に言って偽薬を処方しても「効能がある」と思いこむことによって病状に何らかの改善がみられることを言います。
反対に「ノセボ効果」とは、薬の副作用を信じ込んでしまうがために、偽薬であっても副作用が起こってしまうことや、薬を処方されているにもかかわらず「薬を投与されていない」と思い込んでしまうがゆえに、薬の効果がなくなってしまうことをいいます。
これは人間の心理が疾患の治療にかかわっていることを示しており、良い面も悪い面もあります。
プラセボ効果とはどのようなものなの?
プラセボ効果、またはプラシーボ効果とは、薬理作用のない薬でも自分がその薬が効く、と思い込むことにより病状が本当に改善するという効果があります。
存外歴史が古く、1954年にはそのプラセボ効果が着目されていました。
現在の医療でもプラセボ効果は使われており、たとえば原因不明の痛みに対して乳糖やでんぷん、生理食塩水が配合されたものを「痛みに効果がある」と処方されることにより、本当に痛みがなくなったり軽減したりするそうです。
それは人間の心理面での暗示効果や、その暗示効果によって自然治癒力が働いたため、薬を使っていなくても病状が安定するという良い面があります。
ノセボ効果とはどのようなもの?
ノセボ効果とは、まったく効果のない薬を飲んでも「副作用が出たらどうしよう」と思い込んでしまうことによって、本当に副作用を発症してしまうことです。
どのような薬でも多かれ少なかれ副作用と呼ばれる部分はゼロにはできません。しかしながら、薬の副作用をあまりにも恐れるあまり、処方された薬を飲まずに病気が治らないといった問題点もあります。
そして、病院などで医師が薬を継続的に投与していても、患者自身が薬の投与が中断されてしまったと思い込むあまりに、本当に薬の効果が消えてしまうこともあります。
そのため、病気が長くなるほどノセボ効果には注意をしなければなりません。
プラセボ効果とノセボ効果についての疑問
実は、プラセボ効果とノセボ効果については、それを疑問視する意見もゼロではありません。治療手段としての偽薬の効果が限られてきています。
プラセボ効果によって若干の症状は改善されるものの、自覚症状や多角症状を著しく改善するわけではないという見方もあります。
一方で、プラセボ効果とノセボ効果が重要な意味を持つ場面があります。それが新薬の開発など、薬の臨床試験です。
薬の効果を見るために、症状の改善が心理的な効果なのか、薬理効果なのかを見定める必要があります。ですので、治療効果を臨床試験する場合は、偽薬が用いられます。
プラセボ効果とノセボ効果と効果的に付き合うために
プラセボ効果は病気以外にも使えて、自分の実力以上を出すことができます。スポーツ選手が実際に試合に勝つ場面を思い起こして「自分は勝てる」と思い込むとよい結果が得られるといったことです。
勉強をする際においても、自分の平均点を実際の平均点より上だと思い込むことによって、よりよい結果を得られることもあります。
これら思い込みの力、プラセボ効果をうまく利用することで実生活をより充実させることができるでしょう。
このようなプラセボ効果は一般的に世に知られていますが、ノセボ効果はあまり知られていません。
プラセボ効果で症状が改善する場合はよいのですが、ノセボ効果により、症状が悪化したり薬の副作用を過剰に信じるあまり薬を飲まなかったりしてひどい場合は病気がより悪化することもあります。
このような心理的な効果を最大限発揮するには、やはり信頼できる医師や薬剤師から薬を処方されることや、治療に使われる薬のことをしっかりと理解しておくことが必要です。