予知夢は存在しない?!夢を見る仕組みとその役割とは?
夢を見る仕組みは古代から人類の興味の対象でした。以前は夢は神のお告げや予知夢など宗教的、もしくは超常現象に近いものと考えられてきました。最近になって睡眠の種類や夢を見るタイミング、そして夢の役割などが解明されてきました。夢は「すでに体験したことが複雑に組み合わさったものである」という事実もその一つです。
夢を見る仕組みは解明された?
寝ている間に見る夢は、古来から神のお告げや予知夢、もしくは願望などと様々に解釈されてきました。
この夢について現代科学では心理学や神経学などで解明されつつあります。とくに睡眠中の脳波を測定する方法では、人が夢をみるタイミングが明確にわかるようになりました。
夢を見るタイミング
人は寝ている間に夢を見ますが、その夢をみるタイミングは限られています。人の睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠という二つの睡眠状態が繰り返されます。
ノンレム睡眠とは深い睡眠時のことで、この時、眼球の運動などが停止します。
一方、レム睡眠になると眼球運動を伴うレム睡眠(Rapid Ey Movement Sleep, 急速な眼の動きを伴う睡眠)となり、このときに夢を見ることがわかっています。
レム睡眠は朝に出やすい?
起きる直前に夢を見ていたという感覚がある人は少なくありません。その原因としてレム睡眠の出現するタイミングに秘密があります。
人は眠りにつくと、まずノンレム睡眠に入ります。90分くらいのサイクルでノンレム睡眠とレム睡眠が交互に現れますが、3回のサイクルを超えると眠りは急激に浅くなります。
眠りが浅くなるにつれて夢を見る頻度は高くなります。つまり、朝方、眼が覚める直前は眠り浅いためもっとも夢を見やすい時間帯なのです。
夢を見ない人はいない
一般的に夢を見ない人はいないと言われています。
「夢を見ていない」という人でも、実は「夢をみているけれど忘れてしまっている」というのが実際のようです。夢を見ない人はいませんが、全ての人が夢を覚えているとは限らないのです。
そのような人でも見た夢を記憶したり、見たい夢をみることができる方法があります。それは夢を記録する訓練を行うことです。
方法は簡単で、朝起きた時にすぐ、紙やノートに夢の印象や内容を書き込むことです。なんの夢もみなかったという場合には、睡眠時間や寝起きの感想などを書き込みます。
ポイントは「睡眠中のことを記録する」という意識を持ち続けることです。最初はうまく夢を思い出せない人も、夢の内容を書くことを意識することで夢を思い出せるようになったり、夢をコントロールできるようになります。
夢は新しいことを教えてくれる?
最近では夢は未来を予知するもとではなく、これまでの体験を反復しているということがわかってきました。その反復は実際に体験した現実の出来事とテレビや小説などで見聞きした仮想の出来事が混在しています。
また、これらの体験で得た感情や感覚から想起される過去の体験や経験とも複雑に絡み合って出現します。つまり、夢で見ることはこれまでに自分が体験したり、知っていることしか出てこないということです。
しかし、夢を見ている人にはこれまで体験した数々のことでも奇想天外な組み合わせで出てくるために「初めての体験」として認識されるのです。
夢をみるのは現実が充実している証拠!?
現在では夢は脳が記憶の整理を行っていると考えられています。このときに不要な記憶を消したり、新しい記憶を整理しているのです。
また、夢を見ることは心身の状態を適正に保つという役目も行っているます。
例えば、新しい環境でストレスがかかると夢ではそのストレスを緩和するような内容になることがあります。以前親しくしていた友人がでてきたり、楽しい体験をした場所が出てきたりします。
これは、新しい環境で戸惑う心に、親近感のある場所を思い出すことで精神の安定をはかっているのです。
このようなストレスはなにも心理的なことだけではありません。新たにスポーツを始めたり、勉強を始めたり、学生では新しい内容を習うということも脳に負荷がかかり、ストレスになります。
そのため、夢を見る、ということはそれだけ現実の世界で新たなことに挑戦していたり、心身を鍛えている証拠と言えるのかもしれません。