社会不安障害って?注目を浴びる行動に不安を感じる心の病。治療方法もあります
社会不安障害は、人前で悪い評価を受けたり、注目を浴びる行動への不安により、人前で声がでない、めまいや動悸、吐き気などなどの身体的症状が出てきて、日常生活に支障をきたすことになる心の病気です。精神科や心療内科できちんと治療をすれば改善します。思い当たることがある人のために詳しく見ていきましょう。
社会不安障害とはどんな病気でしょう?
社会不安障害かもしれない?
「結婚式でスピーチを頼まれたのだけど、上手く声が出なかった。人前に出たくない。」これって病気?
結婚式でスピーチをしなければならない、社会的立場が上の人との会話・・・などなど、誰しも不安に感じることがありますよね。それが単なる性格の問題ではなく、日常生活に支障をきたすようになる場合があります。
例えば、スピーチの時に声が出にくくなったり、動悸、震え、吐き気、赤面、発汗といった身体的症状が出てきて、対人関係が築けず、次第に避けるようになるような場合です。
主に、思春期から成人早期くらいで発症することが多いです。症状が慢性化するとうつ病などを併発する恐れがあります。これらが多く見られるのでしたら、一度精神科か心療内科の受診をおすすめします。
SAD(社会不安障害)とはずかしがりの性格との違い
SADなの?ただの恥ずかしがりなの?
SAD(社会不安障害)なのか、恥ずかしがりの性格なのかの違いについてお話しします。
普通は、恥ずかしい思いをしても慣れてきて、他人と比べて恥ずかしさの強さの自覚はないものですが、SADの場合は常に不安感を覚えてしまいます。羞恥心や不安感、赤面、ふるえが人一倍強いという自覚があります。
また、恥ずかしいと不安を感じて、その場に参加することを避けるようになるという傾向があり、日常生活に支障をきたしてしまうのです。
どんな状況でSADが発生しやすいのでしょうか?
社会不安障害(SAD)になると、あらゆる社交的な場所、人前で話す、電話に出る、注目を浴びるといった状況になると、その場を立ち去りたいと強く思います。
具体的には、権威ある人と面談する、人前での会話、知らない人との会話(営業など)、会議で意見を言う、試験を受ける等、また、人前でお腹が鳴る、あるいは鳴りそうになる、外でトイレに行かなければならないといった状況下でも症状が出ることがあります。
どんな症状が現れるのでしょうか?
SADでは、強い不安症状が自律神経に作用するようです。そして、次のような症状が出ます。
顔が赤くほてる、脈が速くなり、息苦しさを感じます。なぜか汗をかいたり、手足、全身、声に震えがきます。吐き気がしたり、口が渇いたり、トイレが近くなる、めまいがする、パニック発作が起きるときもあります。
治療法はあるのでしょうか?
SAD(社会不安障害)の治療法には薬を用いる「薬物療法」と、心理的に治療する「精神療法」があります。
「薬物療法」は不安感情を抑えることが目的です。回避行動を減らし、症状の緩和を図ります。
「精神療法」は認知療法(なぜ不安になるかを学習する)、行動療法(あえて不安な状況に飛び込んで慣らす)などです。
この二つを併用したり、単独で行ったりと専門の先生と相談しながら、患者自身が納得のできる方法を積極的に取り組むことが大切です。
どうサポートする?
家族がそうなったら、どうしたらいいでしょう?
まずは、相手に共感してあげましょう。そして、性格ではなく病気なのです。当たり前のことができないからと非難したり無理強いしたりしないでください。ゆったりとした気持ちで接してあげましょう。
そして、薬を処方されたのなら、きちんと飲みましょう。患者さんと家族がお互い良い関係で、いっしょに良くなるような方向に向かえるといいですね。