災害時のオーラルケアは大切 肺炎予防のために歯磨きをしよう
災害時のオーラルケアが大切だということをご存知でしょうか。災害時に歯磨きができない場合、命に係わる危険性のある感染症にかかってしまったり、肺炎を起こしたりすることもあります。災害時のオーラルケアの大切さについてご紹介します。
災害時のオーラルケアで感染症を予防しよう
地震や津波などが起こったとき、水は貴重なものとなります。そのため、災害時は水を使ってうがいをする歯磨きが疎かになる確率が高くなります。
しかし災害時のオーラルケアはどのくらい大切なのかご紹介します。
災害時のオーラルケアどのくらいできている?
ある会社が、災害が起こった避難所をまわって、歯磨きがどのくらいできているのかを調査したところ、歯磨きは2日に1回か、3日に1回程度という方が多かったようです。
歯ブラシは支援物資でたくさん届いており、避難所のみなさんに行きわたっているにも関わらず、災害時のオーラルケアができていない状態でした。
これは、歯磨きをするときに貴重な水を使ってしまうため、それが原因となって歯磨きができていないということでした。
災害時のオーラルケアが大切な理由は?
なぜ災害時のオーラルケアが大切なのでしょうか?
それは、口の中が不衛生な状態になってしまうと、命に係わる感染症に罹ってしまう可能性があるからです。
一般成人の中で、およそ80%の方が歯周病にかかっていると言われています。歯周病は、1回歯磨きをしないだけで、菌がどんどんと口の中で増加してしまい、さらに歯周病を悪化させてしまいます。
そして、口の中が不衛生な時に食べ物を食べてしまうと、細菌が肺まで到達してしまい、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
子どもやお年寄りの方は特に気をつけなければならず、体力が弱っている時は肺炎で命を落とす可能性もあります。
災害時のオーラルケアは、口臭だけでなく感染症を予防するための大切なことなのです。
阪神淡路大震災では、震災に関係した肺炎でなくなられた方が200名近くもいらっしゃいます。誤嚥性肺炎も多くいらっしゃったのではないかということです。
入れ歯の汚れを落とすことも大切
お年寄りの方の中には、入れ歯を使っている方もいらっしゃいます。汚れた入れ歯をそのままにしておくと、衛生上よくありません。
災害時のオーラルケアとして、入れ歯の汚れを落とすことも大切です。食後にはなるべく入れ歯を外して汚れをとりましょう。
また、就寝時には、外して寝ることで菌の増殖を防ぐことができます。
災害時のオーラルケアの仕方
災害時は、水がなかったり、あっても少なかったりすることが多いです。また、歯ブラシがないこともあるでしょう。
災害時の水が少ない時や歯ブラシがない時にもできる、災害時のオーラルケアの仕方をご紹介しましょう。
【歯ブラシがない場合】
歯ブラシがない時は、食後に少しお茶や水を含んで、しっかりとうがいをすることが大切です。歯の汚れは、ハンカチや布などを指に巻きつけて、歯をぬぐって落としていきましょう。
【水が少ない場合】
水30mlを用意し、歯ブラシをその水で少し濡らしてから歯磨きを行います。
歯ブラシが汚れてきたら、ティッシュやウェットティッシュなどで汚れをできるだけふき取りましょう。汚れたらふいて歯を磨き、ということを繰り返し行います。
最後にコップに残った少量の水を2、3回に分けて口にふくんで、汚れをすすぎます。
【水がない場合】
液体歯磨きがあれば、水がなくても液を口にふくんでうがいをし、そのあとブラッシングをすることでオーラルケアができます。
液体歯磨きを使った後は水で口をすすがなくても問題がありません。災害時の非常持ち出し袋などに液体歯磨きを入れておくと良いでしょう。