動物別・感染経路別・リスク別、動物由来感染症の種類分け
動物由来感染症の動物別の主な病気や感染経路による2つの分類方法をご紹介します。意外なあの動物も感染源!?噛まれたり引っかかれただけではない!見落としがちな感染経路や感染症予防法など、動物由来感染症の疑問に答えます。
動物由来感染症って何?
動物由来感染症とは、動物から感染する病気のことです。近年では、蚊から感染するデング熱やジカ熱、牛肉から感染する狂牛病などが話題になっています。
3通りの動物由来感染症の種類別に、どんな病気があるか見てみましょう。
動物由来感染症は実にほぼ全ての動物に可能性があり、感染経路もさまざまで、致死率や感染率の高い病気もあります。知ると怖くなってしまうかもしれません。
動物別の動物由来感染症の種類
犬や猫
犬と猫に共通する動物由来感染症はたくさんあります。狂犬病やサルモネラ症、Q熱などです。
狂犬病は予防接種をしっかりしている日本ではほとんど心配要りませんが、海外で動物に噛まれたときには警戒する必要があります。
犬だけの病気にはエキノコックス病、猫だけの病気にはトキソプラズマ症などがあります。
トキソプラズマ症は実は多くの人がかかっている病気で、かかってもほとんど無症状です。しかし、妊娠中に初感染すると流産や死産、胎児に障害を残すことがあります。
鳥
ペットの小鳥や公園のドバトは、肺炎の一因となるオウム病を多く持っています。
ウサギ・ネズミ・ハムスターなど
腎症候性出血熱やレプトスピラ症、野兎病などが代表的です。ドブネズミや野兎に触れたり噛まれたりするのは危険です。ペットからは皮膚糸状菌症やサルモネラ症などの感染症に注意しましょう。
蚊
蚊はたくさんの動物由来感染症の媒介をしています。最近話題のジカ熱やデング熱もそうですし、日本脳炎も蚊が媒介します。
日本ではありませんが、マラリアも蚊を通してかかる動物由来感染症です。蚊にはできるだけ刺されないようにしてください。
ダニ
数の多少はありますが、どこにでも潜んでいるダニ。ダニ媒介脳炎や日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群などを媒介します。
動物由来感染症だけではなく、ダニの死骸や糞がアレルギーの原因にもなりますので、ダニはよく退治しておきましょう。
感染方法別の動物由来感染症の種類
動物由来感染症の感染の仕方には2種類あります。
直接感染
病原菌を持った動物に直接噛まれたり、引っかかれたり、舐められたりしたときに起こる動物由来感染症です。動物の糞尿を吸い込んだときにも起こります。
見落としがちで意外に多い感染経路は動物の死骸を触ったり片付けたときです。死んだ動物に素手で触るのは大変危険です。
直接感染の代表的な病気は、犬に噛まれたときの狂犬病や猫の糞尿を吸い込んだトキソプラスマ症などです。
間接感染
病原菌を持った動物の血を吸った蚊やダニ、ノミが媒介になるベクター感染や、病原菌を持った動物がいた場所の水を飲んだりして起こる環境感染があります。
肉や魚を食べて起こる食中毒の一部にも動物由来感染症の間接感染があります。食べて起こる動物由来感染症にはO-157やサルモネラ症などが該当します。
感染症法による動物由来感染症の種類
わが国には感染症の蔓延を予防するための感染症予防法という法律があります。感染症には一類から五類までの区分がありますが、これは症状の重篤さや感染しやすさによって決められています。
動物由来感染症では、一類にエボラ出血熱やマールブルグ病、二類にSARS、鳥インフルエンザ、MERSが分類されています。
エボラ出血熱やマールブルグ病は致死率が80%を超える病気です。狂犬病は致死率ほぼ100%ですが、日本国内では1950年を最後に感染事例はないため、四類に分類されています。