ホスピスと緩和ケアの違いは? 違うの?同じなの?ホスピスと緩和ケア
ホスピスと緩和ケアの違いってわかりますか?がんになったときに行う療法かなと思われているかもしれません。日本では、ホスピスと緩和ケアが、がんの疾患を中心として広がってきました。国際的にはがん疾患以外にも使われている言葉です。ホスピスと緩和ケアの違いについてご紹介しましょう。
知っていますか?ホスピスと緩和ケアの違い
がんの治療をするときによく聞く、ホスピスと緩和ケアという言葉。ホスピスと緩和ケアの違いを知っていますか?
同じではないの?と思われている方、ホスピスと緩和ケアの違いについて勉強しましょう。
ホスピスケアとは?
ホスピスは、治療をすることに専念する医療ではなく、患者さんの痛みや息苦しさ、不安などに向き合うケアのことです。日本では、がん疾患を中心として発展してきたものですが、国際的にはがん以外の病気でも使われています。
ホスピスケアは、治癒が望めない時期から終末期にかけて行われるケアです。終末期ケアはやや高齢者を対象としますが、ホスピスケアは年齢によらずに行われます。
緩和ケアとは?
緩和ケアは、昔は病気の治療を始めてから終末期までのケアでしたが、最近では診断時から適応され、病気の進行度合いに関係なく患者本人の苦痛を和らげることを目標とするケアです。
過去には、がんの治療を行ったけれど効果がなかったときに、がんの治療から緩和ケアへと切り替えられていました。今では緩和ケアは診断時から適応され、がんの治療と並行して行われています。
がんと診断された時に痛みがあった場合は痛み止めが使われたり、病気によって気分が沈んでしまった時には心理的な支援を受けることができます。
早期に緩和ケアをすることによって、生存期間が長くなることがアメリカの大学の研究によって分かりました。
標準的なケアと緩和ケアを受けるAグループと、標準的なケアを受けるBグループに分けて治療を行ったところ、Aグループの生存期間は平均11.6ヶ月、Bグループは8.9ヶ月という結果になりました。
ただ、この結果だけでは緩和ケアを早期に受けることだけが、生存期間の延長と結論付けることはできません。ですが少なくとも、緩和ケアが生存期間を縮めることにはなりません。
ホスピスと緩和ケアの違いは?
ホスピスと緩和ケアの違いの1つは、ケアをする時期です。
ホスピスは、末期のがんなど治療が難しい方に対して、痛みや精神的な不安などを和らげて、体と心のケアをすることです。
緩和ケアは、病気の診断時から行われるケアで、痛みがある場合は痛み止めを使ったり、うつ状態が起こったときには心のケアを行います。
日本では、ホスピスと緩和ケアは同義語で用いることがありますが、海外ではホスピスと緩和ケアが明確に区別されています。
ドイツを例にあげると、緩和ケア病棟は医師や看護師など医療専門職員がおり、短期的に症状の緩和を行います。
ホスピス病棟は、看護師がいて介護を行うとともに、症状を緩和するケアを行います。医師は常駐せずに、かかりつけ医が往診で患者の様子をみます。
誤解していない?緩和ケアとホスピス
緩和ケアとホスピスについて、日本でよく誤解されることをご紹介します。
【緩和ケアの誤解】
・終末期に行われるケアと思われがちですが、病気の進行具合には関係ありません。
・緩和ケア病棟のみで行われるものと思われていますが、一般的な病棟でも行われています。
【ホスピスの誤解】
・緩和ケア病棟で行われると思われていますが、全人的に患者をケアする考え方を指す言葉のことです。