スクラブ入り洗顔フォーム、まだ使ってる?マイクロビーズの怖いお話
古い角質が気になったり、毛穴に汚れが詰っていると思ったら、スクラブ入りの洗顔フォームを使うという人も多いでしょう。しかし、これに含まれるマイクロビーズは、川や海に放水されて魚たちに食べられます。それがやがては人間の口にも入り、負の食物連鎖を起こします。
スクラブ入りの洗顔フォームや洗顔石鹸を使っている方も多いと思います。古い角質がよく落ちたり、毛穴のつまりを取ってくれたりして、洗うとスッキリしますよね。
しかし、このスクラブは、川や湖に溶けずに流れ込んでしまいます。そうすると、そこに生息する生物たちが食べ物と間違って口に入れてしまい、それが巡り巡って、人間の体内へも入り込んでしまいます。
負の食物連鎖が起きていることに、今、世界中で規制に向けた活動が進んでいます。
食物連鎖に入り込むマイクロビーズ
マイクロビーズって何?
スクラブ入りの洗顔フォームには、細かいつぶつぶが入っています。これがマイクロビーズです。ポリエチレンなどで作られています。
サイズは最も小さいもので0.004mm程度、大きくても1.2mmくらいしかありません。角質や脂汚れを落とすとして、広く普及しています。
イギリスのニキビケア製品やフランスの世界最大手化粧品会社のバス製品、日本では、デンタルケアメーカーの製品などに使われています。
なぜ、マイクロビーズは問題になっているの?
上記のとおり、マイクロビーズは、私たちの日常生活のあらゆるところで使われています。それなのに、規制の動きが出てきているのはなぜなのでしょうか?
それは、マイクロビーズが、有害な化学物質を吸収するという性質を持っているからです。
マイクロビーズは、非常に細かくて、水に浮くほどなので、排水処理のプラントをもすり抜けます。
水をろ過するために下水処理施設では網を使っていますが、その網の目のサイズが、マイクロビーズよりも大きく作られています。そのため、マイクロビーズは網を通過してしまい、ろ過された水とともに、川や海へ放水されます。
有害物質を吸収して放水されたマイクロビーズは、川や海に生息する魚や鳥、亀などに食べられます。
それが、巡り巡ってやがては人間の口にも入るため、負の食物連鎖を起こしている、ということが問題になっています。
どのくらいの量のマイクロビーズが放水されているの?
オランダにある環境研究所が実施した検査によると、1カップサイズのスクラブ製品につき、21gのマイクロビーズが下水に流れ込むことが確認されました。年間にすると、ニューヨーク州だけで19トン近くなります。
また、イギリスの海洋生物学会が行った調査によると、プリマス沖に生息する魚の30パーセントにプラスチックの破片が含まれていることが分かりました。
さらに、こうしたプラスチックの破片は、汚染物質の蓄積につながり、食物の循環に悪影響を及ぼす恐れがある、と発表されています。
世界で起きているマイクロビーズの規制活動
アメリカ
ニューヨーク州の検事総長は、水域からマイクロビーズを無くそうと、州法において、規制するための法の制定を呼びかけています。
具体的には、同州で販売される製品において、マイクロビーズを不使用とする法律を定めようという動きです。
これは、カリフォルニア州でも同様の案が出ていて、その他、数州でも同じ動きが見られます。
ロサンゼルス市を拠点とする環境保護団体5 Gyresは、洗顔料のボトルをスキャンすることで、それにマイクロビーズが含有しているかどうかを調べられるアプリを開発しました。
同団体のHPには、海洋のプラスチック汚染という動画も掲載されています。
ヨーロッパ
家庭用品メーカーのUnileverやケア製品メーカーのL’Orealは、自社製品において、マイクロビーズを使わない活動を始めています。